ラムについて その2
先日脇田ラム説を否定する記事を書きましたが、その中で少し触れた若狭ラム説について詳しく説明したいと思います。最初に断っておきますがあくまでも個人的な見解です。ただのこじつけだろうと思ってもらってかまいません。また、コミック未収録のお話にも少し触れているのでネタバレ等にご注意ください。
先日の記事はこちら↓
若狭浅香説の否定
多くの人は若狭について17年前の事件で亡くなったアメリカの資産家アマンダ・ヒューズのボディガードをしていた浅香ではないかと考察していますが、私は若狭=浅香ではないと思っています。詳しくはこちらの記事で記載しているので割愛します。気になる方は確認してみてください。
若狭のラムたり得る要素
若狭がラムである可能性をうかがえる要素は以下の通りです。これは100巻の組織対FBIが描かれる以前に既出していた情報たちですが、考察の材料には充分なり得ます。
- 17年前の羽田事件に何らかの形で関わっている
- APTX4869の被験者リストを所持している
- 哀ちゃんの組織センサーが反応している
- 右目が見えていないと思われる
羽田事件への関わり
多くの人は羽田事件を回想したときの浩司との会話から浅香と考察していますが、事件以前からの顔見知りとか恋人同士とかだったならラムだとしても不自然にはならないでしょう。例えば、浩司がいるとは知らずにアマンダを殺しにいってしまい浩司も殺さざるを得なくなったとか。浩司の遺体に無数の傷があったのも、証拠を残さない組織の犯行であることを隠すためにわざとつけたとも考えられます。
APTX4869の被験者リスト
APTX4869の被験者リストは、ハッキングしたとか元組織の人間だから持ち出せたとか考察されていますが、情報が外部に漏れるのを徹底して嫌う組織がそんなもの許すでしょうか?実際、「黒の組織から来た女」では運良く手に入れたAPTX4869のデータが入ったフロッピーを開けようとしたところパスワードがかかっており、組織外のPCで開くとウイルスに感染するプログラムまで仕込まれていました。
情報の漏洩に二重三重の予防策を張っている組織に簡単にハッキングすることはできないでしょうし、運良くデータを持ち出せても開く前にウイルスに感染して全部消えます。APTX4869の、しかも工藤新一の情報が「不明」から「死亡確認」に書き換えられた後のデータを確認できるということは、今現在も組織員であることの裏付けだと思います。
組織センサーが反応
対面ではっきりと哀ちゃんの組織センサーが反応する描写があるのはラム候補3人の中でも若狭だけ。哀ちゃんから「好きだから」との言葉はありますが、好き=組織の人間ではないことの証拠にはなりません。
右目が見えていない若狭と義眼のラム
右目が見えていないことに関しては他のラム候補同様義眼の匂わせ。ですが「義眼」にするということは表面上は健常者と変わらないわけで、ブラフまで流して徹底して身バレを防いでいるラムなら眼帯やサングラスで目元に視線を寄せるような小細工はしないはずです。一番目元に小細工をしていない若狭は自然だからこそラムに一番近く感じます。一応メガネをしていますが分かる人は見れば義眼だと分かるので、度入りのメガネはむしろいい目くらましになってより自然を装えるでしょう。
100巻収録以降のエピソードでの若狭の描写
100巻に収録されている以降のエピソードに哀ちゃんの姉・明美ちゃんのタイムカプセル探しのエピソードがあります。実は帝丹小学校の卒業生だった明美ちゃんが代表して学校のどこかに隠したタイムカプセルを、明美ちゃんの同級生たちとコナンくんが一緒に探すというストーリーでした。小学校でのお話なので探偵団や小林先生だけでなく副担任の若狭も登場しました。
宮野姉妹と母親のエレーナを知っている
明美ちゃんの同級生から明美ちゃんの名前や妹の名前が出たときに「組織を裏切ったシェリー」「ヘルエンジェルの娘」というモノローグがあったことから、若狭は志保さんとエレーナさんの親子関係やシェリーというコードネームと組織を抜けたこと、エレーナさんが組織内でヘルエンジェルと呼ばれていたことを把握していたことになります。これだけシェリーの周辺に詳しいと組織内でシェリーとそれなりに近しいところにいたように思えてなりません。
また、明美ちゃんの同級生のひとりが「昔見せてもらった写真の子に似てたから」と哀ちゃんに「志保ちゃん」と呼び掛けた際、若狭は「この子がまさか…死んだはずでは?」というような感じ(申し訳ないがこの辺うろ覚え)でした。シェリーが始末されたという情報は当然組織内にいないと知り得ないものなのに若狭は知っている様子。
仮に若狭が組織の人間だとすれば、始末したはずのシェリーが生きていたとなれば改めて始末することを考えるはずですが、若狭からは「この子が本当にシェリーなら始末しなきゃ」的な感じは見て取れませんでした。そもそもほぼ毎日顔を合わせているのにこの時初めて哀ちゃん=シェリーの可能性に触れた感じです。「宮野志保」のことは知っているのに7歳ごろの志保さんの顔はよく知らなかったというのは不思議ですが、哀ちゃんの経歴と発言を合わせるとひとつの説が浮かび上がりました。
哀ちゃんは「私が生まれてすぐに両親が亡くなって物心つく前にアメリカに留学させられた」と言っていました。アメリカ留学中はアメリカのホストファミリーがいたでしょうが、両親が亡くなってからアメリカに行くまでの間に哀ちゃんの面倒を見てくれたり、日本に残った明美ちゃんの面倒を見てくれた育ての親がいたはずです。
また、哀ちゃんは若狭から組織のプレッシャーを感じたのに「好きだから」と言いました。警戒していたところから雰囲気が変わったのは、犯人を威圧して人質から解放された歩美ちゃんを抱きしめた後から。その様子に何か覚えや感じることがあったのだとしたら、若狭が哀ちゃんの育ての親で一緒にいたころに似たようなことがあったからではないでしょうか。
まあこじつけですが、そうだとしたら自分が面倒を見ていた赤ちゃんの頃の顔や組織で研究員をするようになった18歳の顔は知っていても会っていない7歳前後の顔に見覚えがないのは一応説明がつきます。
若狭と脇田と組織センサー
このときは明美ちゃんの同級生たちの同窓会も兼ねていたとのことでいろいろとデリバリーしてプチパーティー的なこともしていました。その中でいろは寿司にも出前を頼んでおり、脇田が届けに来ています。脇田は教室の入り口で中には入らずに応対して帰っていきましたが、このとき哀ちゃんの組織センサーが反応しました。哀ちゃん自身はその対象は教室の外だと話ましたが、教室内には結構怖い顔の若狭がいます。
ここで思い出してほしいのが「漆黒の特急」。ミストレ内での殺人が発覚する前に哀ちゃんの組織センサーが反応する場面がありました。このとき客室内で初対面した世良ちゃんに反応しているように見えますが、実は客室の外にいた昴さんに反応していました。
このときと同じように内と外別の人の気配を感じていて、外の脇田と見せかけて中の若狭に反応していたと考えられます。哀ちゃん自身が「外」だと思ってしまったのは、センサーが最近鈍くなってきているとも話していましたし、脇田は組織の人間ではあるので若狭の気配と混ざり合って混乱したとも考えられます。
「若狭留美」とふざけた名前
100巻のエピソードに戻りますが、ウォッカによるとジンはラムの近況を知っていて「顔を変えてふざけた名前を名乗っている」とのことでした。ではなぜジンはラムの近況を知れたのでしょうか?
ジンがラムの動向を把握できた理由
ジンはラムのことを良く思っていないようで羽田事件を「ラムが抜かった仕事」と表現したり、ラムからの指示も目上の人だから一応従っておくか感がありました。そこから考えても偶然街で出会って気軽に「今どこで何してるの?」などと聞くような関係ではないでしょう。また、ジンがいろは寿司にお寿司を食べに来たようにも思えません。頻繁に連絡を取り合うような仲良しさんの可能性は論外。
ではなぜ知れたのか。知る術はひとつしかありません。偶然手に取った新聞に「お手柄小学校教師 若狭留美先生」という見出しがあって写真が載っていたからです。顔を変えているのに分かったということは、ジンは何かしら顔を変えただけでは隠せないラムの特徴を知っていたのでしょう。記事には事件のあらましだけでなく、その犯人を制圧した若狭の名前や帝丹小学校の先生であることまで書かれています。「ラムは何をやっているんだ」と偶然知ってしまったのでしょう。
ふざけた名前=アナグラムは本当なのか?
ウォッカの話を聞いていたキャメルさんからの情報でラムがふざけた名前を名乗っていることを知ったコナンくんは服部君に「ふざけた名前ってどんなの?」と相談します。そこで服部君は「土井塔克樹は怪盗キッドのアナグラム」だった件について言及しました。ここで「Time is mony」のアナグラムになっている脇田をラムと確定させた人は多いですが、果たして本当にそうでしょうか?単純なアナグラムの土井塔克樹と比べて日本語に訳してローマ字にして並べ替えるって、いくらアナグラムにしても面倒な工程が多すぎます。
そこで思い出してください。土井塔克樹の名前を出す前に平次くんが出したのは誰の名前だったのか。それは「江戸川コナン」です。江戸川乱歩とコナン・ドイルから取った主人公の名前は、字面で見ただけでわかるふざけ加減ですね。では若狭の名前を見てみましょう。
ジンが新聞でラムの近況を知ったのなら「ふざけた名前」も音ではなく紙面の字面でそう感じたはずです。「若狭留美」。「若さ、留める、美しさ」とも見える名前のどこがふざけた名前ではないと言えるのでしょうか?「ふざけた名前」こそ最大のミスリードのような気がしてなりません。
若狭がラムである
以上のことから私は若狭がラムだと考えています。脇田に関しては、今のところ諸伏家と何らかの関わりがある警察関係者で組織に潜入しているラムの影武者と思っています。なんというかミスリード臭がすごくて、脇田がラムだという考察が出回れば出回るほど青山先生が「まんまと引っかかってるw」とほくそ笑んでいるような気がしてならないのは私だけでしょうか…。
言う人いそうなので先に言っておきます。青山先生のおっしゃっていた「ラムは一人」については、「ラム本人」と「ラムの影武者」はあくまで別人なので仮に若狭がラム本人で脇田が影武者でも「ラムは一人」と言えます。
しばらくは「ハロウィンの花嫁」を見据えて高佐や警察学校組が絡んだエピソードがメインになると思うので答えがはっきりするのはまだ先になりそうですが、はっきりするまでは若狭ラム説(育ての親説は置いておきます)を推していきます。ここまで長々とお付き合いくださった方がいたらありがとうございました!